南アルプス・南部〔赤石岳・荒川岳〕
〜誰もいない南アルプス〜
2001年9月15日(土)〜19日(水)・メンバー:飛蝗モード・飯場系M・作者
9月11日
夜、何気なくTVを見ていると、NYの大きなビルが「火災」とのこと。そこに国防総省(ペンタゴン)に飛行機が墜落という速報。
最初はビル火災かなぁ、などと呑気に考えていたのだが、さらにもう1機の飛行機が激突。オイオイ本当に火災なのか?
やがてTBSが「テロ発生」とのテロップを流し始める。そして画面の中ではWTCの2つのビルが倒れていく・・・
9月12日
グアムにいるKから連絡が入る。「いや〜飛行機が飛ばなくて日本に帰れないでやんす」結局今回の山行には不参加となってしまった。
9月15日(土) 天気:晴→曇り(一時小雨)
早朝5:30に東京を出発し、横浜・東名高速を経由して清水ICまで1時間30分。
途中のSAで食べた激マズのシーフードカレーがこの日の悲劇の始まりであった。
清水ICから静清バイパス、県道74号、27号、三ッ峰落合線を経由して井川ダム〜畑薙ダムへと向かう。
この道は狭くてカーブが多く、おまけに距離も長い。(約100km)静岡市は大きい。道はまさに「CROSS ROAD」そのもの。
ミスチルの歌いすぎで全員酸欠気味である。
寝不足と疲労に祟られ、早くもM隊員はキレ気味である。普段はおとなしいMであるが、最近はじめた日雇いバイトの影響で
粗暴になりつつある。この日も、まだザックも背負っていないうちから「帰えろーぜー」などと言い出す始末。
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ようやく畑薙ダムに到着し、ここから東海フォレストのリムジンバスに
乗り換えて椹島に向かう予定、であった。
そのつもりであったのだが、先週の台風で林道が崩壊し、「バス通行止め」
とのこと。しかたなく椹島まで20kmの道のりを歩くことになる。
時刻はすでに正午過ぎ。今日はいったい何時に寝れるのだろうかという不安が
頭をよぎる。明日からの登山に影響しないことを祈るのみ。
・・・長い・・・20kmは長かった・・・途中で小雨もぱらつき、隊員3人ともキレる。
しかもなぜかその3人の側を、明らかに登山客を乗せたワゴン車が通り過ぎて
ゆく・・・
羨望は、やがて渉外担当への憤りとなる。
〔コースタイム〕
畑薙ダム 11:30
中ノ宿沢橋 13:55
赤石ダム 15:.35
椹島ロッジ 16:20
コースタイム5:20(歩4:00・休1:20)
ちなみに林道が崩れたのは畑薙ダムから4キロほどのところ。
ロッジの人に聞いたところ、連絡してくれれば崩壊した場所の手前までは
送迎してもらえたのである。(ワゴン車はその客だったのだ)
渉外担当は「いいウォーミングアップになりましたねぇ〜ははは〜」などと引きつった
笑いをしている。それが誰であったか・・・ここでは敢えて言うまい。
これが世に名高い「南アルプス・死の林道20km行軍」である。
![]() 赤石ダム付近にて。雨も降り始め、隊員の士気は下がる一方である。 |
![]() 椹島のテント場は芝生張りで気持ちが良い。そして人が居ない・・・さすが南アルプス。 |
ちなみにリムジンバスは、東海フォレストが経営している小屋に1泊2食付で宿泊する人でないと乗れない。
往路は3000円の小屋宿泊券を買い、乗車。帰路は小屋でもらう領収書を提示することによって乗車が可能となる。
5時間掛けて20kmを歩くか、バスに乗り小屋に泊まるか、考えるまでもないだろう。
9月16日(日)天気:晴れときどき曇
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| 今回の計画では、当初椹島からなだらかな稜線を登り、千枚小屋に宿泊。 その後荒川岳→赤石岳と縦走し、再び椹島に戻る計画であった。 しかし椹島で入手した、千枚岳の登山道が大雨で崩壊し現在復旧中、との情報。 まだ陽もささぬ6時前からテントを撤収し出発。赤石岳への登りにとりかかる。 しつこくついてくる白い犬を追い払い、道は勾配を増してゆく。
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とにかく登る。ひたすら登る。展望はゼロ。 とにかく標高差1500mである。ひたすら登るしかない。 今回の山行は各自ウォークマン持参のため、みな黙々と テープ1本で1回休憩。区切りが良い。荷物はソコソコ重いのだが、ヘッドホンのおかげで自分の息が切れる音が聞こず、心理的にはとても楽である。 結局バテる者も出ず、午前中には赤石小屋に着いてし あっけない感じではあるが、それなりにトレーニングをして荷物の軽量化に努めた結果だろう。 (左・飛蝗隊員、頭部をハチに刺される) |
今日は帰路の送迎の関係で赤石小屋に泊まる。日曜日にもかかわらず小屋に居るのは自分たち3人だけである。
うわさに違わず、南アルプス、それも南部は人が少なくてよろしい。
しかし今日は日曜日のはずだが・・・こんなに少なくて経営していけるのだろうか?
![]() 赤石小屋は写真で見るより綺麗でした。でも狭いです。 (当日は自分たち3人だけの独占状態でしたが) |
![]() テント張らなくていいのは楽だよね。1泊7500円は痛いけどね。 ここの小屋は雑誌や書籍が豊富です。暇つぶしには事欠かないですね。 |
〔コースタイム〕
椹島ロッジ 5:50
(途中小休止4回)
赤石小屋 11:50
コースタイム6:00(歩4:25・休1:35)
9月17日(月)天気:晴れ一時曇り
食事付の小屋泊まりはメンバー3人ともに初めてであったのだが、この日は朝食の支度が出来るまで布団から出ないという、いつものテント山行から考えると
想像できない怠慢ぶりを遺憾なく発揮してしまった。前日からはさかんに「これからは小屋泊まり山行の時代」などと言っていたのだが。先が思いやられる。
朝食はご飯+納豆、味噌汁・・・あとなんだっけ?ちなみに前夜の夕食はコロッケにサラダに冷奴でした。そこそこ美味かった、よね?
ちなみに今回の山行では食料にアメリカ製のフリーズドライ食品を使用。これはアメリカの登山道具ショップ「REI」のHPで通信販売したもの。
日本製のFD食品はいちいち水を加えて炒めたり煮込んだりしなければいけないが、アメリカ製のFD食品は熱湯を加えて10分待つだけ、という大変手軽なもの。
その上送料と税金を考えても日本製のFDよりも安いし、美味しい。(と思う)
何はともあれ、食事をして30分後には出発という、いったいいつ消化すればよいの?という無謀なスケジュール。おかげで朝の1本は・・・
![]() 赤石小屋から見る赤石岳。本日の攻撃目標である。 |
![]() こちらは赤石岳の後ろに見える聖岳。真ん中の尖がった山は兎岳?です。たぶん。 |
小屋から樹林帯ののぼりが40分ほどで富士見平に到着。名前の通り、雲海に浮かぶ富士の山頂が見える。距離も近い。
富士見平からは尾根を左に巻いて行く。途中険しい場所もあるが、ロープなどの整備もあり、滞りなく歩ける。
昨日の登りもそうであったが、どうもエアリアのコースタイムはだいぶ余裕を持った記載らしい。荷物満載の状態でも2/3ほどのタイムで歩けてしまう。
この日も富士見平から稜線の取付まで「2時間」のところを1時間で着いてしまい、思わず地図と実地を見比べたほどである。
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順調すぎるペースで稜線に到着。ここにザックをデポし、空身にて赤石岳へとピストン。往復で40分弱である。
赤石岳(3120m)、今山行の最高峰。着いた感想は皆、「もう2度と来ないだろうな・・・」みなさんもっと純粋に山を楽しみましょう・・・
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ザックの場所に戻り、こんどは赤石岳とは反対に北に向かって縦走を開始する。小赤石岳を越え、まずは大聖平まで予定では2時間。 陽が高くなるとともに雲が湧き始め、早くも鞍部では雲に覆われている部分も出始めてきた。 行く手には明日登る予定の荒川三山が待ち構え、右手には帰路の千枚岳からのなだらかな稜線が椹島まで続いている。 前にも後ろにも、見えるのは稜線に続く細い道が1本だけ。まさに稜線歩きの醍醐味だろう。
(左上・赤石岳からザックを取りに戻る。正面雲の中に荒川岳が見える。) |
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雲に巻かれはしたものの、とくに道に迷うことも無く、大聖平に到着。 稜線鞍部のためか、風が強い。 結局赤石岳からは1時間30分ほどで荒川小屋に到着。 |
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![]() 大聖平にて。 |
![]() 大聖平からは稜線の東側を通る。このすぐ先に荒川小屋がある。 |
〔コースタイム〕
赤石小屋 5:50
富士見平 6:50
稜線分岐 8:40
赤石岳 9:10
大聖平 10:45
荒川小屋 11:20
コースタイム5:30(歩4:15・休1:15)
9月18日(火)天気:快晴
昨夜の作戦会議の結果、今日は一気に椹島まで降りることとなった。予定では千枚岳直下の千枚小屋(テントだけど)に泊まり、翌日早出をして昼の送迎バスに間に合うように
下山するはずだったのだが、ここの山域のエアリアマップよりかなり早く歩けること、天気がいいこと、メンバーの体調もいいこと、そしてなにより早く風呂に入りたいという、色々な
希望が噴出し、とにかく今日のうちに山を降りることにした。
起床2:30。出発4:30。山ヤ用語で言うところの「2半4半」である。
当然、起きても真っ暗。テントをたたんでも真っ暗。出発するときも真っ暗である。
そのため先頭を歩いていた飛蝗氏は足を滑らせ、崖を5mほど滑落してしまった。
しかもみんなウォークマンをしていたため気づかなかった。
結構笑い話ではないような気もするが、作者は単にバカな奴としか思っていないので、
あしからず。
とりあえず飛蝗の無事を確認し、再度歩き出す。
荒川小屋から荒川岳への登りがきつくなるころ、東の空が明るくなり始め
やがて夜空を覆っていた星々も姿を消してゆく。
出発して1時間ほどして、ようやく太陽が雲海の彼方に顔を出す。
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稜線を越え、中岳の肩にたどり着くと目の前には荒川岳の大きな姿が、そしてその向こう側には南アルプスの峰峯が雲海から顔をのぞかせている。
右から、
農鳥岳
間ノ岳
蝙蝠岳
鳳凰三山
北岳
千丈岳
甲斐駒ケ岳
塩見岳
だと思います。
遠く左手に見えるのは北アルプス。
穂高岳や槍ヶ岳。
写真には写っていませんが、さらに左には
すぐ近くに中央アルプスが。
そして右手には富士山が見えます。
考えてみると、ここ5年間で行った山の
半分近くが、ここから見えるんですなぁ。
感激です。
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| (左・小赤石岳。その向こうに赤石岳。) (右・荒川岳から見た赤石岳。) |
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小屋を出て三時間弱、途中休憩を2回ほど挟み、中岳からの急な登り(本当に急です。崖みたいでした)を上りきると、荒川三山の最高峰、悪沢岳に到着。
最高にいい天気。雲ひとつ無く360度の視界。
東には富士山が、南には昨日登った赤石岳・聖岳・光岳が見える。西には中央アルプスの木曽駒ケ岳や空木岳。
北には遠くに北アルプスが。すぐ近くには同じ南アルプスの山々が。
行程を考えるとあまりユックリもしていられないのだが、時間も忘れしばし景色に見惚れ、そして写真を取りまくる。
やっぱり3人とも登頂の感想は「2度と来ないぞ」。
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(←荒川東岳・通称悪沢岳。標高3141m) (未知との遭遇?→) |
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悪沢岳をそそくさと後にし、先を急ぐ。なにしろ今日の行程のまだ半分も歩いていないのだから。
千枚岳までの道は、大きな岩がゴロゴロし、足場の悪い場所を抜けると、今度は砂礫のなだらかな下りとなる。
途中1箇所だけ下の写真みたいな岩場があるが、ルート自体はしっかりしているし、マークもしてあるので大丈夫だろう。
ただ下りでここを使うと、すこし判りにくいかも知れない。
千枚岳の頂上は何にも無い、たんなる小広場だが、オコジョが居た。あわてて写真撮った。
最初は茶色いネズミかと思った。(そんなの、こんな場所にいるかっつーの)
日差しが強くなり始め、あちこちから雲が湧きはじめる。遠くの景色が霞み出す。いよいよここから一気に1500mの下りである・・・
![]() 悪沢岳〜千枚岳の岩場。悪天候時は危険かも。 |
![]() マーク自体はしっかりしているのだが。 |
![]() たどり着いた頂上にはオコジョが待っていた! |

千枚岳からは20分ほどで千枚小屋に到着。
帰路のルート状況を確認する。2日前に出発するときは崩れていた登山道であるが、なんとか人一人が
歩けるぐらいのスペースはある、とのこと。気をつけるようにと小屋の人に念を押される。
ここですこし長目の休憩をとった後、いよいよ千枚尾根の下りである。
道はなだらかで気持ちが良い。まったく平坦ではないが、ほどよく下っているので自然と脚が前へ出る。
半ば走っているかのようなスピードで歩く。
ただそれでもこの尾根は長い。
猛スピードで歩いているのだが、なかなか先が見えてこない。
そのうち根負けしてあごが出てくる。おまけに慣れない早出に疲労も増して全員バテ気味。
初日はキレて、最後はバテバテ。なんだか頼りないなぁ・・・
この尾根は途中から林道が交差しはじめ、それがまたやる気を殺ぐのだが、とにかく日差しが暑い。
行動食も食い尽くして、残るは水のみ。
遥か先からはかすかに沢の音も聞こえてくるのだが・・・
![]() バテバテの図、その1 |
![]() その2 |
途中からは林道に加えて電線だの鉄塔だの、ますますやる気がなくなるのだが、
ようやく下のほうから沢の音が聞こえてきた。
崩れていた登山道は、自分たちが通るときも崩壊が進んでいて、遅かれ早かれ高巻きするなり、
別ルートの整備が必要だと思った。
(バテバテだったので写真は撮ってません)
やがてつり橋を渡り、小さな沢を徒渉するとコンクリートと鉄橋の滝見橋が見えてくる。ここを右手に進み15分ほどでようやく2日前に出発した懐かしい椹島に到着。
あの白い犬も居ました。今日は気持ちのいい芝生の上で、テント泊です。酒もジュースも飲み放題。
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〔コースタイム〕
荒川小屋 4:30
(途中小休止2回)
悪沢岳 7:35
千枚岳 8:45
千枚小屋 9:30
(途中小休止3回)
椹島 13:35
コースタイム9:05(歩6:55・休2:10)
9月19日(水)天気:快晴
朝7:30の送迎バスで林道崩壊場所の手前まで送ってもらう。
3日前に5時間かかった道が、たったの45分で着いてしまった。あの苦労はなんだったんだろう・・・

再び林道を戻り、45分ほどで駐車場に到着。
長い長い道を運転し、予定していた「もりのいずみ」という温泉は休館だったが、
寸又峡温泉の町営温泉に入浴、中川根町〜島田市を経由し、ふたたび静清バイパスから
清水ICを経て、東名高速で横浜〜東京と帰りました。
それにしてもまるまる5日間、ほとんど雨らしい雨も降らず、体調もよく、
順調に登れたんでしょう?
やっぱ普段の行いが良いからだね、そーゆーことにしておこう。
〔写真別館〕
(赤石岳にて)
(雲海の彼方に、太陽が顔を出す。時間が止まる一瞬)